元アトピー母さんの考える幼児のスキンケアやステロイドのこと(※長文です)

ごぶさたしております、タカエマです。スキンケアやステロイドについて以前からずっと記事を書きたかったのですが、いざやってみると書きたいことがありずぎてまとめきれずに数日投稿できませんでした・・・
元アトピー母による息子のスキンケア
わたしがアトピー性皮膚炎と診断されたのは4才のころです。両目の周りとヒジの内側ががいつもかゆくて毎日かきむしっていたのを覚えています。中学生になる頃にはほぼ症状は出なくなりましたが、今もスポット的に湿疹が出たりします。そんな経験から、息子には生後まもなくから毎日欠かさず保湿をしてきました。それは保湿が子どものアトピーの発症率を減らすことが色々な研究によって確認された事実だからです。冬の間の息子のスキンケアは、夜はお風呂上りには全身にヒルドイドローションとワセリンを1:1くらいで手のひらで混ぜ合わせたものを全身にたっぷり塗り、朝は食事後に温かい濡れガーゼで拭いた顔に同じものを塗っています。夏の間は肌がカサついていなければ夜にヒルドイドローションを全身に塗っています(かさついている場所には冬と同様ワセリンも混ぜて塗ります)。朝は寝汗をそのままにするのも肌には刺激になるので、シャワーをあびさせるか温かい濡れタオルで体を拭いてから保湿しています。それに加えて、季節に関わらずオムツかぶれ防止のために、平日は朝と夜に、休日はおむつ替えの度に、おしり周りとおちんちん袋の周りにヒルドイドローションとワセリンを1:2くらいで混ぜたものを塗っています(これを始めてからおむつかぶれは一度も経験していません)。スキンケアのおかげか息子は今のところアトピー性皮膚炎とは無縁のツルツルのお肌をしています。

ステロイドの副作用の本当のところ

それでも顔・足・手に湿疹ができたりすることも時々あります。そんなときはロコイド軟膏を2~3日使用してサッと直すことで、かきむしって患部が悪化しないように気を付けています。でも、赤ちゃんや幼児にステロイドを使うのはちょっと気が引けるというお母さんお父さんは多いはずです。ステロイドの塗り薬を子どものころから使ってきたわたしですら実はそうでした。不安になってネットを調べてみると、おそろしい情報がたくさん出てきたりしてもっと不安になってしまうし。ただネットの情報はステロイド内服薬の副作用と間違っていたり、噂レベルの情報も多いので鵜呑みにするのはとても危険です。まず、子どもに処方されるような弱いステロイドを短期間使って「全身性」の副作用が出ることはありません。全身性の副作用、たとえば、骨粗しょう症(骨がもろくなる)、ムーンフェイス(顔が丸くなる)などはステロイドを内服したときの副作用のはなしです。ステロイドを塗ったときの副作用はほとんど塗った箇所だけに起こり、皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)、感染症の悪化(トビヒ、カンジダ、ヘルペスなどを悪化させたり感染しやすくなる)、緑内障(目や目のまわりに使用した場合のみ)などがあります。ステロイドを塗ると黒くなるというのはネットの噂にすぎず、実際に出る副作用は色素脱失(色が抜けて白くなる)の方で、強いステロイドを長期間塗った場合に起こるとされています。ただ、湿疹が治ったあとに色素沈着が起こることがあり、それと誤解されているようです。また、湿疹が治ったあとには逆に色素脱失することもあります。実はわたしも元々アトピーが出ていて弱いステロイドを塗っていた部分に一円玉くらいの色素脱失があるのですが、皮膚科に行くと、これはステロイドの副作用ではなく、炎症後の色素脱失とのことでした。そういえば息子の腕にも以前ワッペンのような不思議な湿疹が長期間治らなかったことがあり、だれかに噛まれたか、虫刺され跡かな(笑)と思って薬は塗っていなかったのですが、治ったあとにわずかに色素脱失していました。
アンチステロイドというビジネスジャンルがある
育児ブログサーフィンをしていると、「わたしは食べ物やスキンケアには神経質だから、ステロイドを赤ちゃんに使いたくない」というお母さんがいました。その代わりに「子どものオムツかぶれがきれいに治った!」とリンクをたくさん貼って猛プッシュしていたのは、ある赤ちゃん向けの化粧品でした。某化粧品メーカーで中身を開発をしていたので、興味本位でその化粧品メーカーのHPをのぞいてみたら、なんとも刺激的でした。まず、アトピーがよくなるとか、ひどい湿疹の赤ちゃんのビフォーアフターの写真を載せていて、コレ、完全にアウト(薬事法ガン無視)ですやん・・・。しかも成分表示を見ると、大人向けの化粧品と変わらないし、オーガニック系の人(先ほどのお母さんがそうなのか分かりませんが)がいかにも嫌いそうなシリコンや石油系溶剤もガッツリはいってるけどなぁ。そういえば昔、わたしの両親もアトピーに効くという1本5000円もする入浴剤を10本以上も使い続けてくれて、幼いながら親に申し訳ない気持ちがあったのを思い出し、ちょっとせつなくなりました。ステロイドがこわいという世のお母さんたちの不安な気持ちを利用して、科学的根拠の何もない、しかも高い物を買わせようとするアンチステロイドビジネスだけは、今もメーカー(ウチはホワイトですが)で開発の仕事をしている自分としてはゆるせないな~と思うのです。「化粧品は人体への作用が緩慢なもの」という薬事法で決まっていますので、まず「アトピー・湿疹が治る」とか絶対に言っちゃいけないのですから。
ステロイドとの付き合い方、まず信頼できる皮膚科をさがしてみる
外用ステロイドは「症状に合ったランクのステロイドを、短期間、必要な量を、患部にだけ」塗ることが大切です(塗る量についてのFTUの話は>>別記事)。こわいからと症状に合わない弱いランクのものを使ったり、少なすぎる量しか塗らなかったりすると、よくならずに悪化してしまい、結果的に治療が長期化してしまいます。最近はステップダウン療法といって、強めのステロイドをごく短期間使い、症状が軽くなったら弱めのステロイドに代えるという治療が主流になりつつあるようです。まずは、①皮膚トラブルを何でも相談できる、②それに対して詳しく分かりやすく答えてくれる、③薬に対して偏ったポリシーのない皮膚科の先生を探すことをぜひおすすめします。そういう先生は勉強熱心で最新の治療報告やガイドラインにも精通しているので治療の近道になります。皮膚科医の中にはステロイドは使わない方もいれば、ちょっとした湿疹でも強いステロイドを出す先生もいます。また、お医者さん全員が薬に詳しい訳でも、最新の治療に精通しているというわけではないのです。医師免許は一旦取れば一生モノの資格なので、努力するお医者さんはモーレツに勉強するし、そうでないお医者さんは古く乏しい知識のまま患者さんに接します。幼児の軽い顔湿疹に強いステロイドを出したり、副作用の少ない効き目のよい薬があるのに、時代遅れの薬の選択している小児科医だっています。子どもは自分で治療方法をえらべません。子どもにとっては親が全てですから、自宅から多少遠くても信頼できるお医者さんのところで診てもらうことが子どもにとってもっとも幸せなことだと思います。この記事がご参考になれば嬉しいです。
参考:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版

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